オープンソースAIと輸出管理
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ソフトウェア · モデル · シリコン・ハードウェア · 人類の未来 2026-11-02

07. ワシントンの門番たち:シリコンチップとモデルの重み

世界の計算を支える物理エンジンを守る

太平洋を渡ってワシントンD.C.へ目を向けると、地球規模の国境アーキテクチャのもう半分、より歴史が長く、ハードウェアを軸に据えた規制体系、が姿を現します。米国商務省 産業安全保障局(BIS) が 輸出管理規則(EAR:連邦規則集第15編 Part 730-774) に基づいて運用するこの制度は、 最先端の計算ハードウェア、半導体設計ソフトウェア(EDA)、および半導体製造装置 への世界的なアクセスを規律しています。 EAR734 EAR742 EAR774

米国の規制体系に関わるあらゆるプロジェクトは、順番に次の4つの問いに直面します。

  1. EAR対象か: 米国所在・原産と指定外国製品に条件・除外があります。公表、研究、暗号にも詳細があります。何らかの米国ソフト利用だけで外国半導体全部が対象にはなりません。 EAR734
  2. ECCN番号は何か(Part 774)? 規制品目には規制品目リスト(CCL)上の番号が付されており、とりわけ先端AIアクセラレータには 3A090 、特定のクローズドな最先端AIモデルの重みには 4E091 が割り当てられています。 EAR774
  3. 仕向地はどこか(Part 742)? 輸出許可の要否は仕向国のカントリーグループ区分によって決まります。
  4. 最終需要者は誰で、最終用途は何か(Part 744)? エンティティ・リスト(744.11) 掲載事業体への出荷や、規制対象のスーパーコンピュータ、先端ノード半導体、または兵器関連の最終用途( 744.23 、 744.4 )を支援する行為には、通常であれば規制対象外の品目であっても輸出許可が必要となります。 EAR744

2026年1月の半導体規則、開かれた扉ではなく「ノックする許可」

3年間にわたり、中国向けの高性能データセンター用AIチップには原則不許可(推定拒否)の方針が敷かれてきました。しかし 2026年1月15日 、BISは的を絞ったハードウェア審査基準の調整( 91 FR 1684 、 15 CFR 742.6(b)(10) 改正)を公布しました。米国から中国またはマカオの最終需要者へ向けた適格輸出のうち、チップの 総合演算性能(TPP)が21,000未満 かつ 総DRAM帯域幅が6,500 GB/s未満 に収まるもの、規則本文でNVIDIAの H200 やAMDの MI325X が例示されている性能帯、については、一律拒否ではなく 個別審査(ケース・バイ・ケース審査) を申請できるようになったのです。 US26 EAR742

しかし、その条件を注意深く読む必要があります。個別審査とは「申請の扉をノックする許可」であって、フリーパスではありません。申請者は、米国内の顧客に供給不足が生じないこと、世界のファウンドリ生産能力が米国の買主から奪われないこと、累計出荷量が米国内向け数量に対する厳格な比率内に収まること、物理面・サイバー面の厳重な顧客確認(KYC)管理によって無断のリモート利用やエンティティ・リスト掲載者による利用を遮断すること、さらに輸出前に 米国に本社を置く独立試験機関 がチップ性能を実測・検証することを証明しなければなりません。 US26, sections I and IV また、第三国経由の再輸出にはこの審査レーンが自動的には適用されません。

ワシントンの隣接する2つのゲート:投資マネーと大量機微データ

BISの隣には、さらに2つの連邦規制ゲートが並んでいます。

  • 米国財務省・対外投資安全保障プログラム: 2025年1月2日 以降、中国の半導体、量子技術、または特定のAIシステムに資金を投じる米国人・米国企業には禁止または届出義務が課されており、 2026年10月22日 には技術基準の精緻化案に対するパブリックコメント( 2026年12月7日 まで)が開始されました。 TREAS
  • 米国司法省・データセキュリティ・プログラム: 米国人の機微な個人データ(ゲノム、生体認証、健康・医療、金融、位置情報)および政府関連データの大規模な越境移転やアクセスを制限しています。 DOJ

二つのチームにとっての意味

ゲームのA国とB国は架空です。米中では規則の範囲、機関、計算機供給網での位置が異なります。本章は違いを説明し、実在国に3、5、17、20点を付けません。

二つのチームの出発点は 要塞の罠:双方が損をする仕組み にあります。